シリコンバレーの資金調達関連のニュースを聞く度に、動く金額のケタが日本の場合とひとつやふたつ違うことにいつも驚かされます。
そこで、シリコンバレーのベンチャー・キャピタル(VC)の実情が分かるデータがないかな〜と探していたところ、調査会社のCB InsightsがORRICKS、SVB、GLG Shareの協力を得て定期的に発行している、イカしたレポート『The Silicon Valley Tech Venture Capital Almanac』を発見しました!
2009年から2013年までの過去5年間のシリコンバレーVCの動向をグラフ化した示唆に富むデータです。今回はその一部をちょこっとだけ紹介したいと思います。
2013年は過去5年間で最高の投資金額、案件数の見込み
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まず、こちらのグラフは過去5年間のシリコンバレーの投資金額、投資案件数を表したものです(2013年度のグレーの部分は予想値)。※今回のレポートでいう投資案件とは、実際に投資を実行した案件を指します。
2009年から2010年あたりでは1年に450〜550件だった投資案件ですが、2013年度は934件にのぼる見込み。これは過去5年間で最高の数字です。加えて、2013年度は投資金額も過去最高の水準で、1年間でおよそ8900億円が投資される見込みなのだとか(1ドル100円計算)。
ちなみに、2013年度のデータを365日分で割る単純計算を行うと、1日に平均約2.5件、約24億円が投資されていることになり、1件あたりの投資規模は平均約9.6億円になります。
また、過去5年間の投資総額はおよそ3兆円、案件数は計3308件というから驚きです。
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2013年度Q3の投資金額・件数は過去5年間で最高の水準で、タクシー配車サービスUberの約258億円の調達や、ビックデータ企業のPalantirの約197億円の調達、企業向けにストレージサービスを提供するPure Storageの約150億円の調達など、大型案件が数字を押し上げたと見られているようです。
シードステージへの投資が活発化?
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当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、レイトステージの占める金額の比率は高く、2013年度は全体の投資金額の40%近くを占めているようです。
もうひとつ注目できるのは、近年シードステージへの投資比率が徐々に増加しており、2013年のQ3では全体の4%を占める規模になっています。(ただ、属性不明"Unattributed"の数値が2009年〜2011年の間に10%前後で存在しているため、そこの数字にシードステージの投資が分類されてたんじゃないの?という疑問も残ります…)
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また、こちらのグラフは各投資ステージ毎に案件の比率を表したもの。2009年度に7%であったシードステージへの投資案件は、2013年度には全体の29%を占めるまで増加しています。(ここでも気になるのが2009年〜2011年の間に10%前後ある属性不明レイヤーの存在で、そこの部分にシードステージの投資が分類されていたんじゃ?という疑問が再び…)
インターネット、モバイルの分野の拡大とヘルスケア、エネルギー分野の縮小
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まとめ
・シリコンバレーVCの投資金額の大きさと、案件数の多さは驚異的(過去5年間で約3兆円の投資と3308件の投資案件)。・2013年は投資金額、案件数ともに過去5年間で最大規模。
・近年シードステージへの投資が増加。
・モバイル分野への投資が増加、ヘルスケア、エネルギー分野は一段落ついた感じ。
今回紹介した数字で注意していただきたいのは、これらのデータはVCからの投資に限った数字であるということです。つまり、前回のエントリで紹介したようなエンジェル投資家(個人の投資家)関連の数字は入っていません。
また、非公開の案件も少なからずあるので、実際の投資金額および案件数はもっと多いことになります。シリコンバレーの規模感半端ない!
更なる詳細を知りたい方は、HPから直接レポートをダウンロードしてみてください。
【グラフ参照元】
・The Silicon Valley Tech Venture Capital Almanac
【関連エントリ】
・1年半で132億円を集めたライフネット生命の調達額をシリコンバレーの企業と比較してみた
・数字で見るシリコンバレーのマフィア達、Googleは15年間で2123人の人材、1167社の企業を生み出した