2013年11月11日月曜日

Twitterマフィアの始まり、3人の創業者(Jack Dorsey, Ev Williams, Biz Stone)と150人の卒業生



先日(2013年11月7日)、Twitterが無事ニューヨーク証券取引所に上場し、1兆円を超える金額で評価されました。

会社にとって上場はあくまで通過点であり、ある意味スタートですが、Twitterの上場はシリコンバレーのスタートアップシーンにとって、ひとつの時代の終わりと、新たな時代のはじまりを予感させます。

今回のような大型上場(もしくはバイアウト)は多くの億万長者を生み出し、彼らの多くはその莫大な報酬を起業の資金やスタートアップへの投資に使うというのがシリコンバレーのセオリーです。(その際に多くの人が会社を離れます)

このような循環がシリコンバレーの生態系を支えており、人々は敬意を込めて彼らのことをマフィアと表現するのです(※起業や投資を通じてスタートアップ界で幅を利かせるから)。また、実際にキャピタル・ゲインを得ていない人材も、その企業の出身で実力があれば、広義の意味でマフィアに分類されます。

例えば、PayPalマフィアはLinkedIn、YouTube、Yammer、Yelp、Tesla Motorsなど、FacebookマフィアはQuora、Asana、Path、Clouderaなどの名立たる企業を世に生み出してきた強者達です。

SVBJの記事によると、Twitterは上場前の段階で既に150人以上の卒業生が投資家や起業家として活動しており、既に90社以上の会社が彼らによって立ち上げられているとか。創業7年の企業がこの数字を出すところがシリコンバレーの真髄だと言えます。

今回は、このTwitterマフィアについて、創業者を中心に紹介していきます。

創業者全員が上場前に会社から離れていったTwitter



特に注目すべきなのは、Twitterの4人の創業者は全員、上場前にTwitterを離れて(追い出されて)おり、そのうちの3人は既に別の会社を立ち上げているといった点です。(※創業者とされているのはEvan Williams, Jack Dorsey, Biz Stone, Noah Glassの4人)

Twitterは、EvanがCEOを務めるOdeoというポッドキャスティングの会社で新規プロジェクトとして生まれました。Odeoが鳴かず飛ばずのボロボロな状態で、何か次の事業を作らないと会社がヤバイ!という中、JackとNoahのアイディアをきっかけに開発されたのがTwitterです。

その後、Odeoの見込みの無さと、Twitteの可能性を確信したNoahは、自ら『これをスピンオフしてTwitterという会社をやらせてくれ!』と懇願するのですが、これをきっかけに社内で干され、最終的にクビになります。Twitterを追い出された後、Noahはシリコンバレーを離れLAに引っ越すと、2年近くTwitterもブログも更新せず、連絡が取れない状態が続いたのだとか。

その後、3人のファウンダーによる仁義なき戦いを経て、2010年にEvan、2011年にBizが同社を離れました。Jackは会長として籍を残すものの、実質肩書だけのお飾り状態になり、自身が立上げた別の会社(Square)に注力していくことになります。※今回は割愛しましたが、仁義なき戦いの内容を詳しく知りたい方は書籍『Hatching Twitter』をどうぞ。

このような過程で上場前にTwitterを事実上離れた創業者達ですが、そこで終わらないのがTwitterマフィアたる所以です。

 ジャック・ドーシー(Jack Dorsey)




まずは、ジャック・ドーシー(Jack Dorsey)。彼はモバイル決済サービスSquareの創業者でありCEOです。Squareは3000億円以上(2013年11月現在)で評価されており、2014年の上場も噂されています。また、SquareのCEO以外にも、Twitterの会長、Ustreamのアドバイザー、Fancyの役員も務めています。

投資面では、Flipboard、Kickstarter、Instagram、Fancy、Foursquare、Jelly HQ(※Bizの会社)など今をきらめくスタートアップに出資しており、シリコンバレーのスタートアップシーンに影響を与え続けている人物の1人です。そのカリスマ性ゆえに次なるジョブズと言われているとかいないとか。Twitterの持ち株は5%前後。

 エヴァン・ウィリアムズ(Evan Williams)



次に、エヴァン・ウィリアムス(Evan Williams)。彼は過去にBloggerをGoogleにバイアウトした後、Twitterの前身であるOdeoを創業。2010年にTwitterのCEOの退いてから、ブログのパブリッシングプラットフォームのMediumを設立しています。

投資面ではMilk、Everfi、Blippy Social Commerceなどに投資。多くの修羅場をくぐってきた経営者だけあり、その過程で身につけてきた経営手腕には光るものがあります(特に窮地に立たされた時の身の振り方)。バイアウトを経て、シリコンバレーの幅広いコネクションと莫大な資産を手に入れた人物です。Twitterの持ち株は12%と多め。

 ビズ・ストーン(Biz Stone)



最後は、ビズ・ストーン(Biz Stone)。彼はBlogger時代からEvanと付き合いのある人物で、Mediumの開発にも一役買った人物。2013年にJack DorseyやSV Angelから資金を集め、Jelly HQというプロダクトの開発を始めます(詳細は不明)。彼は、Fluther、Branchのアドバイザー、DonorsChoose.orgのボードメンバーでもあります。また、投資面ではSquare、Message Bus、Intercomに出資しており、Spark Capitalのアドバイザーも務めています。Twitter持ち株は退職時にほとんど売り払ってしまったため1%前後。


こう並べてみると、BizがJackのSquareに投資、EvのMediumの開発に関与していることや、JackがBizのJelly HQに初期投資をしていることから創業者の横の繋がりがめちゃくちゃ強いことが分かります。

また横の繋がりのみならず、シリコンバレーのスタートアップシーンに起業家、投資家という2つの側面から多大な影響を与え続けている、まさにマフィアと呼ぶに相応しい創業者達なのです。


投資界のTwitteマフィア



創業者以外にも、上場までに150人以上の卒業生と90社以上のスタートアップを生み出してきたTwitter。特に著名VCで働く人材には目を見張るものがあるようです。

以下、Twitter出身で著名VCのパートナーを務めるマフィア達。

・Josh Elman→Greylock Partners(ファンド規模総額約2500億円、主な投資先はLinkedIn、Facebook、AirBnB、Dropboxなど)

・Michel Abbott→KPCB(ファンド規模総額約1430億円、主な投資先はAmazon、Google、Twitter、Path、Spotifyなど)

・Ryan Sarver→Redpoint Ventures(ファンド規模総額約1850億円、主な投資先Gogobot、Path、Zendesk、Twilioなど)

・Anamitra Banerji→Foundation Capital(ファンド規模総額約282億円、主な投資先Pocket、DogVacay、Lending Clubなど)

彼らは、所属するVCを通じてこれまでAngel List、Cloudera、CodeAcademy、Pure Storageなどに投資を行い、新たなイケてるサービスの発展に貢献してきました。


このように、創業者、従業員ともにシリコンバレーの原動力になっているTwitterの卒業生達。今回のIPOによるキャピタル・ゲインを機にその数は増えていくでしょう。今後彼らがTwitterマフィアとしてシリコンバレーでどのように活躍してくれるのかに注目です。

その他、Twitterマフィア予備軍のスタートアップと人材はコチラからウォッチできます。

 

【参照元】
Twitter mafia: 150 alumni spawn 90+ startups
Angel List/Twitter
An Interview With Twitter's Forgotten Founder, Noah Glass
The “Twitter Mafia” Poised to be Silicon Valley’s Next Great Network