2013年12月13日金曜日

2013年に日本へ進出した海外スタートアップまとめ。Fab, AirBnB, Uber, Fancy, Spotify, Pinterestなど。



2013年は多くの海外スタートアップが、日本の市場に進出(もしくは進出を発表)した年であったように思います。

いくら中国やインド、東南アジアのモバイル保有数が伸びても、所得水準が高く国民の携帯に関するリテラシーが高い日本は無視できない市場です。よって、多くの海外スタートアップは英語圏の次に日本の市場を攻略したいと考えています。

そこで今回は、昨今日本市場に参入した海外スタートアップをまとめてみました。

※Facebook、Twitter、Evernoteといった古株は除き、2013年〜2014年に日本進出をするorした企業に絞りました。

※日本進出は、日本法人を設立している、日本人をローカライズのために雇用している、担当者が来日し日本進出を宣言している、のどれかに当てはまるものと定義しました。


1、Fab.com


Fab.comは、2011年にJason Goldbergによって設立されたソーシャルコマースの会社です。SV Angel、Andreessen Horowitz、Atomicoなどのシリコンバレーで名高いVCや、ドコモ、ワシントン・ポスト、伊藤忠などの事業会社系から俳優のアシュトン・カッチャーまで、幅広い分野のプレイヤーから資金調達を行っています。日本進出は、伊藤忠とジョイント・ベンチャーという形で2014年から本格的に始動する予定。

現在1300万人以上の登録ユーザーを有しており、創業2年目で250億円以上の売上を誇るサービスです。(※売の35%は欧州から)

また、成功の秘訣として、ローンチ前にメール会員を最低でも10万人以上獲得することを条件にしているようです。 実際にローンチ前には、ティザーサイトの公開後わずか30日で5万人、3ヶ月後には16万5000人ものメール会員を集めたのだとか。メール会員の効果もあり、サービス開始から18日で約1億円以上を売り上げたというから驚きです。

他に特筆すべきなのはリピート率の高さ。約7割のユーザーがリピートなのだとか。Jasonは、 Fabは何かが欲しいけど、具体的には何が欲しいか分からない人を対象にしている。どこにも売っていないユニークな商品を集めることに注力しており、Amazonとの大きな違いはそこだと言及しています。

2、Pinterest



Pinterestは、2010年のローンチ後米国で爆発的にユーザー数を伸ばしたプロダクトとして有名です。(※2013年12月現在世界で約5300万人のユーザー)

ピンボード風のデザインに画像や動画を収集していくサービスで、女性を中心に支持を集めています。ピンボード風のUIをIT業界に流行らせたのもPinterest。


↑Pinterestの驚異的な成長(TechCrunch記事より)


これまでに約338億円を調達しており、Max Levchin、Ron Conwayなどの有名投資家、Andreessen Horowitz、Bessemer Venture Partnersなどの老舗VC、日本からも楽天が約50億円を出資しています。(※日本語版ではログイン時に楽天IDが使用できます…)

2013年の11月に日本語版をローンチ。日本法人も設立しており気合が感じられます。 日本以外ではフランス・イタリアに法人を構えているのだとか。


3、AirBnB



AirBnBは、YC生によって2008年にローンチされた、空き部屋を貸し借りすることができるサービスです。(※サービス名は「エアーベット&ブレックファースト」という意味)

これまでに約326億円を、Sequoia Capital、SV Angel、Andreessen Horowitz、Founders Fundなどの有名VC、またAmazonの創業者Jeff Bezosから調達しています。

現在では、ホストは全世界192ヶ国3万4000の都市におり、20言語30通貨に対応しています。 AirBnB経由で宿泊したゲストは2011年1月には400万人ですが、2013年には900万人に達しています。


TechCrunch Tokyo2013でアジア太平洋地域のマネージャーであるRuch氏が登壇。まずはじめの100人に愛されるサービスになるよう努める姿勢です。2013年9月に日本語版がスタート。Twitterアカウントの運用も開始されています。


4、Uber



Uberは、2009年に設立されたハイヤーの配車サービスです。配車状況の可視化と、料金決済がモバイルで完結する(キャッシュレス)という2つの点がポイント。現在までで総額約307億円を調達しています。最近では、Google VenturesがUberへ約258億円の投資ラウンドをまとめたことが話題になりました。

日本では2013年11月に六本木・麻布エリアで限定ローンチされました。 現在、世界22ヶ国で展開しており、 特に中国、マレーシア、シンガポール、韓国などのアジア諸国への拡大に注力しているのだとか。

類似サービスだと、イギリスのHailo(ヘイロー)日本でのサービスを開始しました。(※HailoはKDDIから投資を受けています)


5、Square



Squareは、Twitter創業者のJack Dorseyが2009年に設立したモバイル決済を提供する会社です。北米では、400万を超える、中小企業や個人事業主が導入しており、Squareを使用したクレジットカード決済の総額が年間で1.5兆円にのぼるのだとか。これまでに著名個人投資家やVCから約341億円を調達。

2013年5月に三井住友カード株式会社と提携し、日本向けにサービスをローンチしました。その他にも、日本ではCoineyや楽天、ソフトバンク(PayPalと提携)がこの分野でしのぎを削っています。


6、Spotify



Spotifyは、2006年にスウェーデンで創業された音楽ストリーミングサービスです。現在2400万人の会員、600万人の有料会員を獲得しており、年間の売上は1000億円を超えるとか。2013年12月現在世界55ヶ国に展開しており、提供している曲は2000万曲以上。

もちろん日本でも着々とローンチの準備が行われています。最近では、Spotifyのデスクトップおよびモバイルアプリが日本語対応されているなどの変化もありました。また、 日本語でのティザーサイトも用意されています。アーティストやレーベルとの権利関係の調整に時間がかかっている印象です。


7、Fancy



Fancyは、2009年に設立されたソーシャルコマースの会社です。Twitter、Squareの創業者ジャック・ドーシーやFacebook共同創業者のクリス・ヒューズが役員で入っているスタートアップです。全世界75ヶ国で展開しており、現在1000万人の会員を獲得しています。

2013年に日本語版をローンチ。 同年10月には、伊勢丹のオフィシャルページがオープンしました。 また、各都市で即日配達サービスを開始しているようです。

※ハンドメイドECのEtsyも日本対応(出荷および円表示)を開始しましたし、多くのソーシャルコマース系のサービスが日本に参入した印象。


8、Box




Boxは、2005年に創業された企業向けにストレージサービスを提供する企業です。企業向けのDropboxと言うと分かりやすいかも知れません。Andreessen Horowitz、Draper Fisher Jurvetson、Salesforceから総額約409億円を調達しています。また日本からも三井物産、伊藤忠テクノロジーベンチャーズがBoxに出資しています。

米国ではすでに18万社以上がBoxのサービスを利用しており、フォーチューン500社の企業のじつに97%の企業がなんらかの形でBoxのプラットフォームを利用しているのだとか。

2013年11月に日本法人を設立、  2014年4月に日本語版をローンチ予定です。


9、Zendesk


(写真:Supporting those who support the masses, man-boobs excluded.)


Zendeskは、2007年にデンマークで創業されたクラウド型カスタマーサポートサービスを提供している会社です。顧客サービスに関する、窓口からの問い合わせやコミュニケーションを、クラウド上で一括管理することができる便利なツール。

2007年当初の導入企業数は100社程度、しかし現在では世界140か国で2万5000社以上の企業に導入されているようです。

2013年、日本法人を設立。デンマーク、英国、オーストラリア、アイルランドに続く5番目の現地法人なのだとか。※3年後に日本での導入企業を1000社に拡大することが目標

MOVIDAやオンラボなどのインキュベーションプログラムに採択されたスタートアップ向けに一定期間無料でサービスを提供する取り組みなども行われています。

※先日、日本オフィス開設パーティーに参加してきました!縁日風のユニークなパーティーで、CEOのミッケル自らハッピを着用し、来客をもてなしていたところが印象的。本当に良いチームです。

10、AnchorFree



AnchorFreeは、2005年に設立されたHotspot Shieldというセキュリティソフトを提供している会社です。Hotspot Shieldは、無線LANアクセスポイントの通信を暗号化し、安全なネット環境を提供してくれます。

 セキュリティというと地味に聞こえますが、外部からトラッキングができない環境でネットが使えるということは…。つまり、国別で規制されているサービスを利用できるようになるという神アプリなのです!これを通じてHuluやNetflixに国を問わずアクセスできるよになります。素晴らしい!

(AnchorFree提供資料より)

現在、デスクトップとモバイル向けにアプリを提供しており、デスクトップで月間3300万ユーザー、モバイルで月間320万ユーザーを獲得しています。着実に成長しているプロダクトという印象。 まだ日本法人はないものの、先日CEO自ら来日するなど、日本市場への参入意欲を見せています。留学生が重宝しそうなアプリです。


11、Path



Pathは、2011年に元FacebookのDave Morinにより創業されたクローズドなSNSを提供している会社です。今年、登録ベースで1000万ユーザーを獲得。クローズドのSNSではトップクラスの規模を誇るプロダクトです。

2013年2月にPath副社長のMatt Van Horn氏が来日し、本格的な日本語対応を発表。Amazon、Appleを渡り歩いてきた進藤氏が日本のGMに就任しました。


12、The Real Real



The Real Realは、2011年に創業された高級ブランドの中古品を期間限定で販売するマーケットプレイスを提供している会社です。

買い手は、高級ブランドの中古品を手頃な価格で手に入れることができ、売り手は、電話一本で自宅まで中古品を引き取りにきてくれる便利なサービスです。 個人のみならず、リサイクルショップなどの法人からも商品を預かり、写真撮影から商品掲載、決済や発送まで一括して代行してくれるのが特徴。

米国では、主要16都市でサービスを展開しており、会員数は130万人。月間サイト訪問者数は150万人で、購入者は30〜55歳の女性がメイン。リピート率が60%と高く、1回あたりの平均購入金額は3万円、年間の平均購入金額は20万円なのだとか。13年度の取引額は50〜60億円になる予想。

日本法人のCEOとして、元グルーポン・ジャパンの代表の瀬戸氏が就任しました。 2013年8月に日本でサービスをスタート。


13、Noom



Noomは、ダイエット・コーチングアプリを開発している会社で、2008年にGoogle出身のエンジニアArtem Petakov氏と19歳で渡米した韓国出身のSaeju Jeong氏によって創業されました。

「Noomダイエットコーチ」以外にも「Noomウォーク歩数計」などいくつかのヘルスケアアプリを提供しており、そのアプリは累計で1800万ダウンロードを記録しています。また、「Noomダイエットコーチ」に限っては、既にAndroid版だけで500万以上ダウンロードされている海外で人気のヘルスケアアプリなのです。

日本進出にあたっては、現地のマーケターを募集、日本向けにキャンペーンを行うなどの動きを見せています。Twitterアカウントはこちら


 

以上、昨今日本に進出した13の海外スタートアップでした。