2013年5月31日金曜日

PayPal、テスラモーターズ、スペースX創業者イーロン・マスクを理解するための3つの動画




『大学時代、世界を変えたいと思った。人々の生活を変えるゴールとして、インターネット、再生可能エネルギー、宇宙の3分野に興味があったんだ。』


その思いを、インターネット電子決済事業のPayPal、電気自動車のテスラ・モーターズ、宇宙ロケットを開発するスペースXを創業することで体現してきた連続起業家イーロン・マスク。

そんなスーパーマンな彼なのですが、日本での知名度って意外に低いなって感じます。日本語訳されている書籍もありませんし。個人的には、マーク・ザッカーバーグなんかよりも彼のことを多くの日本人に知ってほしいので、今回はイーロン・マスクを理解するために抑えておきたい3つの動画を紹介したいと思います。(1つは日本語訳あり)

過去エントリもどうぞ→『米国を牽引する連続起業家イーロン・マスク

イーロンの経歴をおさらい


イーロン・マスクの経歴が包括的に紹介されてるBloomberg TVの作品です。幼少期から数ある起業の段階まで、イーロンの経歴を関係者のインタビューを交えて理解することができます。

TEDで語る、挑戦する意味


こちらは、TEDでの対談を通じて電気自動車や再生可能エネルギーに取り組む意味を理解することができます。日本語訳付きですし、時間も短いのでおすすめ。

『PayPal、電気自動車、宇宙、ソーラービジネス、どうやってこのような革命が1人の人間にできたのか?』という質問に、『う〜ん、正直よく分からないですが、めちゃくちゃ働きはします。』とサラッと答えるイーロン。

テスラ、スペースXの最新状況を語る


先日開催された、AllthingsDの第11回カンファレンスの対談にて、現在進行中の事業について言及している動画。

Market Hackにて日本語のキーポイント妙訳を読むことが可能です。

中でも、
インターネットで今日おきていることは、チョッとした、ほんの僅かの改善や価値を沢山の人に届けることで、それを全部合計すれば大きな違いが生じる……そういう類のイノベーションだ。それでみんながハッピーになり、企業の価値が高まるのであれば、それはそれでいいんじゃないの。でも才能のあるアントレプレナーとかVCの一部が、ネット以外の分野にも少し目を向けるともっと良いかもしれない。』(Market Hackより)
という言葉が印象的でした。


さて、この3つの動画を制覇したら、あなたも晴れて"にわかイーロンマスター"です。

もっと理解を深めたいという方(+英語ができる方)は、書籍がAmazonから購入できますので、是非読んでみてください。

 

はやく日本語訳のものが出てきて欲しいですねー!

【追記】日本語で読める書籍が発売されました→『イーロン・マスクの野望 未来を変える天才経営者

2013年5月29日水曜日

米女優ジェニファー・ロペスが携帯電話の小売事業に参入



先日、米ラスベガスで開催された携帯電話の見本市"CTIA"で、米国大手のキャリアであるベライゾンが、女優のジェニファー・ロペス氏が立ち上げた携帯小売りチェーンと提携し、ヒスパニック系市場向けの販売に尽力していくことを発表しました。


提携内容は、ロペス氏が展開する小売りチェーン店「ビバ・モビル」に、ベライゾン社の携帯電話や通信サービスを独占供給することだそうです。

無視できない米ヒスパニック市場


ジェニファー・ロペス氏は、CTIAの会場にて米国内でヒスパニック系人口の増加が著しいことを強調し、彼ら向けに店内で子供を遊ばせておけるプレイ・エリアや、家族を一緒に連れて買い物できるような店舗を設計していくと言及。また、携帯電話アクセサリーのデザインなどにも力を入れていくようです。

店内は英語とスペイン語の両方で対応し、6月に一号をニューヨーク市で開店、その後はヒスパニック系移民の多い、マイアミやロサンゼルスを中心に15店舗のオープンを計画しているのだとか。

米国内のヒスパニック系人口は5000万人を超え、その購買力は2015年に1兆5000億ドルを超えると予想されています。2050年には米国人口の30%を占めるとまで言われているようです。

さすがにこの数字を見るとヒスパニック系市場は無視できませんね。日本も2050年には人口の4分の1が高齢者になると予想されていますので、携帯小売店舗も年配の方が集まってくつろげるような店舗設計、また各アプリも年配向けブラウザおよびクライアントサービスなども増えてくるのではないでしょうか。(今のFacebookやTwitterのクライアントアプリでは、文字が小さ過ぎ、操作が複雑過ぎてとてもお年寄りが使えるとは思えないので)


モバイルから再生できない方はこちらからどうぞ

参考文献『Verizon partners with JLo's Viva Movil to target Latinos

2013年5月28日火曜日

どこが有力?Square、PayPal Here、Coiney、楽天スマートペイを比較してみた



先日、スマホのクレジットカード決済事業を展開する米スタートアップSquareが、日本でのサービス開始を発表しました。(※海外進出は日本が初めて)

Squareって何?って方はコチラのエントリ→「シリコンバレーでは『モバイル+α』の波がきている

楽天PayPal(ソフトバンクと提携)、日本発スタートアップのCoineyなど、同事業を展開するプレイヤーが出揃ったところで、現状ではどこが1番条件が良いのか比較表を作ってみました。

(画像をクリックすると拡大)

総合力でSquareが一歩リード


注目すべき点は、やはり「決済手数料」「振込までの期間」でしょう。

手数料の安さは3.25%のSquareがダントツで、Coineyが4.00%と健闘してます。手数料で1%以上差がある他の2社はちょっと厳しいですね。

また、スモールビジネスを経営するプレイヤーからしたら、振込までの期間はめちゃくちゃ重要です。ここは、楽天の翌日がダントツで、PayPalとSquareがその後につけています。気になるのはCoineyの翌月支払い。これはスモールビジネスのプレイヤーからしたら資金繰りの点で致命的なハンデになると思われます。

あと、言及しておくべき点は対応するカード会社でしょう。PayPalはアメリカンエキスプレスが使用できるということで、海外の旅行客相手の商売を行うクライアントからしたら嬉しいポイントですね。そもそも、カードが対応してなかったら決済できないわけですから、決済手数料うんぬんどころの話ではありません。この点ではPayPalが高く評価できますが、他社もそのうち対応してくるでしょう。

端末代金は導入後の費用に比べたら些細なものなので、今回はスルーします。

最後に、普及のスピードという点では、営業力のある楽天、PayPal(ソフトバンク)が現状ではちょびっとだけ有利であると感じます。

まとめ


手数料ならSquare。対応カード会社の多さならPaypal Here、営業力では楽天、頑張れCoineyといったところでしょうか。

ちなみに、Suquareは米国で既にレジとレシートプリンターのパケージ販売や、コンシューマー向けのソーシャルアプリなどを提供しており、この分野で先行して培ってきたノウハウがあるという点では今後1番期待できるプレイヤーです。

国内スタートアップのCoineyにも頑張ってもらいたいところですね!応援しています!

今後、各社がどのように手数料の変更、サービスの追加により他社との差別化を図っていくのかがとても興味深いです。

追記)ヨーロッパを中心に同事業を展開するSumUpグルーポンとアメックスから資金調達を行いました。

追記2)楽天が手数料を業界最安値の3.24%に変更しました。

追記3)PayPal Hereも手数料を3.24%に改正。残すところ、手数料が高いのはCoineyだけですね。(6月20日現在)

追記4)Coineyも手数料を3.24%に変更。手数料の変更は一段落した感じです。

2013年5月24日金曜日

米Yahoo!、Tumblrの次は1.5億人が利用するゲームプラットフォームを買収!Dailymotionの買収は失敗




先日、Tumblrを11億ドルで買収した米Yahoo!ですが、立て続けに1.5億人が利用するゲームプラットフォームPlayer Scaleの買収を発表しました。(※買収額は非公開ですが、米メディアは決して安くはないという意見です)

マリッサ・メイヤーの新体制以降、様々な改革を進めている米Yahoo!ですが、この2件の買収はYahoo!のビジネスにどのように働くのでしょうか。

TumblerとPlayer Scaleを手に入れた意味


マリッサ新体制以降、モバイル分野の改革を行なっていることは先日のエントリで紹介しました。モバイルの分野でポシャることはコンテンツ企業のYahoo!にとって死を意味します。

今回の2つの買収で、米Yahoo!はモバイルで重要な2つのチャネルを手に入れることに成功しました。それが、SNSとゲームです。

FacebookもTwitterなどのSNSへのアクセスはモバイルが主流、Yahoo!もTumblrを手に入れたことで、SNS分野におけるモバイルでのプレゼンスを確保しました。

また、モバイル分野でゲームがめちゃくちゃ儲かってることは言うまでもありません。過去エントリ参照→『たった2タイトルのみで四半期1.79億ドルを売り上げた驚異のゲームメーカーSupercell

このようにSNSとゲームの分野をおさえた米Yahoo!ですが、実はどうしても手に入れたかったモバイルの主要チャネルがあったのです。

欲しかったYouTubeの対抗馬


実は米Yahoo!、先月からヨーロッパのYouTubeことDailymotionの買収を試みていました。買収額はおよそ200〜300億円を提案していたとか。

DailymotionはYouTubeの次にユーザーを獲得している大手動画配信サービスで、現在はフランステレコムの参加に入っています。

米YahooはDailymotionを手に入れてモバイル分野のプレゼンスを一気に高めたかったところでしょう。YouTubeは最もモバイルから利用されているサービスのひとつですので、今回の狙いも納得できます。

しかし、Dailymotionの親会社フランステレコムの大株主であるフランス政府(27%を保有)が、今回の買収に大反対。

理由は、『インターネット分野における、国内ベンチャー企業のサクセスストーリーが台無しになる。海外の企業に持っていかれるなんて恥ずかしい』からだそうです…。

残念ながら失敗に終わったDailymotionの買収ですが、マリッサ・メイヤーの改革ぷっりを見ていると、Yahoo!がモバイル分野でのプレゼンスを確立するのもそう遠い話ではなさそうですね。

【参考文献】
Yahoo Buys Gaming Platform PlayerScale
Following meltdown of Yahoo deal, France Telecom CEO promises to invest €30-50M into Dailymotion

追記:『マリッサ・メイヤーが買った10つの企業

2013年5月22日水曜日

たった2タイトルのみで四半期1.79億ドルを売り上げた驚異のゲームメーカーSupercell




先日、国内のソーシャルゲーム企業ガンホーの時価総額が1兆円を超えたと話題になりましたね。

海外のゲーム企業も景気が良く、フィンランドのスタートアップSupercellは、たった2タイトルのソーシャルゲームで今年の第一四半期に1.79億ドルもの売上を計上しました。

今回は、そんなイケイケなゲームメーカーSupercellを紹介します。

Supercellとは?


Supercellは、Ilkka Paananen氏(34歳)が2010年に立ち上げたスタートアップで、村を敵から守り発展させていくゲーム"Clash Clans"と、農場を経営するゲーム"Hay Day"が主力タイトル。

この2タイトルで、去年1億ドル、今年の四半期だけで1.79億ドルもの売上、また現在は日々240万ドルの収益を上げているというから驚きです。(収益方法はアイテム課金)

Supercellが提供するゲームのデイリーユーザーは850万人、プレイヤーは1日平均して10回プレイしているのだとか。

資金調達面では、Index VentureとAtomicoから1.3億ドル、その他VCからのものを合わせると、計1.42億ドルを調達しています。会社の評価額は7.70億ドル。

ファウンダーは、2004年にSumeaを600万ドルのキャッシュ+1200万ドル分の株式でDigital Chocolateに売却。同社で6年働いた後に、Supercellを創業した連続起業家(シリアルアントレプレナー)なのです。

タブレット・ファースト戦略


彼らは、タブレット向けのゲーム開発を第一優先とする戦略を掲げています。

Clash ClansやHay Dayはスマホでもプレイできますが、動的な要素が多いゲームですので、やはりタブレットの方がプレイし易いという印象です。

2012年の夏にローンチされた上記2タイトルですが、タブレット・ファーストの戦略が功を奏し、即時iTunesのランキングでトップ5にランクインしたのだとか。

自由にやらせ、失敗を讃える社風


Supercellでは5〜7人でチームが構成されており、ゲームのアイディアから制作までチームで自由に行うことができるのだとか。

仕上がったゲームは、まずカナダのiTunesストアで試し、数字を残すことができればグローバル展開にもっていくシステム。

失敗に寛容で、どこかのプロジェクトがポシャると従業員はシャンパンを開けてお祝いする文化があるみたい。

『私達は失敗そのものでなく、失敗から来る学びを称賛する。』とファウンダーのIlkka Paananen氏はForbesの取材で言及しています。

アジア展開とIPOを見据える 


現在イケイケのSupercellは3年以内にAndroid版の提供やアジアへの拡大、そしてIPOも計画しているそうです。

うーん、モバイルやタブレットの普及に伴い、まだまだゲームは儲かりそうですね。

先月のエントリ『米国のソーシャルゲームはカジノへ』で取り上げたように、GREEも米国戦略としてタブレット端末の強化を公言していますし、ミドルゲーマー層向けのタブレット端末でプレイし易いゲームは今後のトレンドなのかも知れませんね。

今後の日本勢に期待しています!

参考文献:『Is This The Fastest-Growing Game Company Ever?』(Forbes紙)

【追記】ソフトバンクとガンホーが約1500億円でSupercellを買収。(2013年10月15日)

2013年5月21日火曜日

連続起業家としての堀江貴文




堀江貴文氏の出所後第一弾の書籍『金持ちになる方法はあるけれど、金持ちになって君はどうするの?』を読み、連続起業家(シリアルアントレプレナー)の生き方について少し考えてみました。

アイディアに価値はなく、好きなことをやる人生こそ幸せ


本書を通じて、堀江氏が教えてくれることは以下の2つではないでしょうか。

・アイディアに価値はない

・好きなことをやる人生が幸せ

本書では、堀江氏がメルマガ発信してきたビジネスのアイディアが100近く掲載されています。どれも、やったら儲かりそうだよね、といったアイディアばかりです。

ただ、これらのアイディアを実行する購読者ってほとんどいないんですよね。そのくせ、Q&Aコーナーでは、『どうやったらお金持ちになりますか?』の類の質問が毎週寄せられています。お金持ちになるのが目的ならどれかひとつ実行してみれば良いのにと思います。

現在も堀江氏は毎週ビジネスアイディアを公開しているわけですが、結局アイディア段階のものって何も価値がないんだなってことに気付かされます。

ビジネスは実行するかしないかなんですよね。その次に、持続するかしないかだと思います。

ただ、実行って単なる精神論とか、性格の問題じゃなくて、好きなことかどうかっていう部分が大きい。

好きなことじゃなければ続かないし、もちろんビジネスは連続性が保てなければ成立しません。そこの動機が、お金儲けや、承認欲求を満たすためだと結局続かない(成功しない)んですよね。

筆者は、人生で1番大切にしなければいけないことって、『人生でいくら稼ぐか』ではなく、『人生が有限である』ということを自覚することだと考えます。

人は1日24時間、時間の買い戻しはできないという平等のルールのもと生きています。

「20代に戻してくれ!」といって、いくらお金を積んでも過ぎ去った時間は戻ってきません。

だったら好きなことをとことんやるべきですよね。そのためにお金が必要なら稼げば良い話。

堀江氏も本書の中で、『好きこそ物の上手なれ』という言葉を強調しています。
起業したいなら、好きで得意なことをやればいいし、金持ちってやりたいことをやるためにお金が必要だから稼ぐのだと言及しています。

筆者もやることの大小(世間に認められるかどうかも含め)ではなく、自分に素直に好きなことをやることが人生の幸せであると考えますし、そうやって生きてる人をかっこいいなーと感じます。

ただ、人から認められるのが好きとか、紙フェチで一万円札の質がめちゃくちゃ気に入っているとか、お金持ちというステータスが大好きなのであれば、それを目的にするのはとても楽しい人生だと思います。

連続起業家は好きだからやっちゃう連中


ライブドア(現NHN Japan【LINE】)時代から、プロ野球球団買収やニッポン放送株買収、また現在でも宇宙ビジネスやメルマガなど連続してビジネスを仕掛けている堀江氏は連続起業家(シリアルアントレプレナー)の分類に入るでしょう。

そしてシリコンバレーは堀江さんのような連続起業家の母数が半端なく多いです。

先日取り上げた、イーロン・マスクをはじめ、エバーノートCEOのフィル・リービン、リンクトイン創業者のリード・ホフマン、またY Combinatorのポール・グレアムのように、事業売却後に起業家支援の会社を設立する例もあります。

連続起業家ってひとことで言うと『社会から見たら成功していて、お金も十分あるんだけど、やりたいからまたやっちゃう人達』と表現できるでしょうか。

彼らの、好きなことをやりたい欲は半端ありません。

先日、エバーノートのマネージャーの方から、こんなお話しを聞きました。『私も日本にいた時からいくつかのスタートアップの企業に参画していた。ただ、起業というものはかっこよくはなく、事業を大きくしていく過程はものすごくつらいものだ。ただ、フィルもそうだがシリコンバレーの起業家とはまたやっちゃうんだよね。すごくしんどいのが分かっていてもまたやっちゃうんだよ。投資家だけではなく、プレイヤーとしてね。』

なるほどと思いました。
どんだけしんどいかを知っていながら、それでもやっちゃう。それは金が足りないからではない。本当に好きでやりたいことがあるからなんですね。

うーん、堀江氏みたいにのびのびビジネスを仕掛けていく人間が多い(称賛される)から、海外の人間は少なからずシリコンバレーに惹かれる傾向にあるのかもしれません。

『人生は有限である。好きなことをとことんやって生きよう。』

それがシリコンバレーの連続起業家と堀江氏が教えてくれたことです。


まだ読んでいない方は是非!こんな楽しそうにビジネスってやっていいんだ!と思わせてくれる1冊です。

余談ですが、本の構想がうまいなーと感じました。

本書は堀江さんのメルマガにある、ビジネスモデル教えちゃいますコーナーとQ&Aを再度編集して出版された1冊なのですが、ストックした情報を再利用するので、一から書籍を執筆するよりもコストがかからない。加えて、本書をきっかけにメルマガの新規購読者獲得にも繫がります。商売人ですねー。

ただ、再編だからといって決してつまらなくはなく、メルマガを購読している筆者でもすごく楽しめる内容になっていました。(ピックアップするコンテンツが絶妙なのだと思います)

追記:堀江貴文氏のおすすめ書籍をまとめました。マーケットプレイスから100円で買えるものもあります。

追追記:堀江氏のメルマガもおすすめです!他のメルマガに先駆けて設けられたQ&Aコーナーはルールさえ守れば必ず回答して頂けますし、ビジネスの新鮮なネタも毎週届けてくれますよー!

2013年5月20日月曜日

Amazon創業者ジェフ・ベゾスは起業するために就職を選んだ




書籍や音楽のみならず、食品、ファッション、家電など幅広い商品を取り揃え、ECの象徴になりつつあるAmazon。その他、クラウドホスティングサービスKindleの開発にも力を入れている企業です。

Amazonは1994年7月に、当時30歳のジェフ・ベゾスによって創業されました。(設立当初の社名は『カダブラ』)
その後、ドットコムバブルの波に乗り、1997年5月に株式公開、上場以降は利益をほとんど出さないにも関わらず(売上のほとんどは投資に回す)、2012年度末にはおよそ1200億ドルの時価総額をマークしている物流ITのインフラ的企業です。

さて、30歳で事業を開始したジェフですが、GoogleやYahoo、Facebookのような学生起業のサクセスストーリーとは少し違う印象を受けます。

今回は、地球最大の書店を創り上げたジェフ・ベゾスが、起業するまでにどのような経緯を経たのかについて取り上げます。

起業をするためにまずはビジネスを学ぶ


米国フロリダ州でトップクラスの4年制高校マイアミ・パルメット高校に進学したジェフは、3年生の卒業直前の夏休みを利用してサマースクール(塾のようなもの)を立ち上げました。これが、彼のはじめて取り組んだ事業で、地元の新聞にも取り上げられたのだとか。高校生の頃から商売に興味があったことが伺えます。(※また、高校生の頃は宇宙が大好きだったとか)

高校を卒業後、プリンストン大学に進学しコンピューターサイエンスと電気工学の学位を修得。在学中は、プログラミングやハッキングに夢中になっていたのだとか。

ジェフは、卒業と同時に起業を考えていたらしいですが、『最終的にはもう少し後回しにして、まずはビジネスや世界の仕組みを勉強した方がいいと考えたのです』と書籍『ワンクリック』で言及しています。

実際には、どういう企業を興せばいいのか(興したいのか)も分かっていなかったようです。

こういう心境の学生って最近増えてきていると思います。

将来自分の会社を持って挑戦したいけど、今するつもりはなく、まずは就職を選択するといった学生です。

そもそも、起業のタイミングなど人それぞれなので、やりたいことが今あってどうしてもやらずにはいられないのであれば、今すぐやるべきですし、そもそもアイディアがない(したいことがない)、もしくはどうしても準備が必要だと考えるのであれば、就職すべきでしょう。これに答えはないので、自分で考えて各々のペースでやるのが1番です。

15歳でSummlyをした起業ニック・ダロイジオ氏の例もあれば、50歳でブックオフ、71歳で俺のフレンチ・イタリアンを開業した坂本孝氏の例もあります。

ジェフ・ベゾスに話を戻しましょう。
要するに、ジェフも最近のスタートアップ志向の学生同様、将来の起業を視野に入れて就職を選択したのです。(※インテルやAT&Tの研究所であるベル研究所のオファーを辞退)

26歳で最年少の副社長に


ジェフは、創業間もなくリスクが大きいスタートアップを志望し、コロンビア大学経済学部の教授が創業したフェルティナに11番目の社員として就職します。

フェルティナは、まだインターネットが普及していない時代にその簡略版を作ろうとした企業で、ジェフは証券会社や投資銀行が持つコンピューターをネットに繋ぎ、株の取引を行えるようにするシステムの構築に携わりました。

入社して1年もしないうちに事業開発のアソシエーツディレクターに昇格、実質ナンバー2のポディションに就きます。しかし、その1年後に退社し、バンカース・トラスト(金融システムの企業)に転職しました。

驚くのはその昇格の早さ、入社10ヶ月後には26歳でバンカース・トラストの最年少副社長になったのです。

その後、デビッド・ショーが立ち上げた、D・E・ショー(これも金融取引を支援する技術系企業)に転職、同僚の紹介でAmazonの共同創業者となるシェルダン・カファン(エンジニア)と出会うと、1994年にAmazonの前身となるカダブラを設立しました。

イケてるスタートアップに就職するという選択肢


まとめると、ジェフはテクノロジー系のスタートアップ(主に金融系)3社で、技術とビジネスについて実践を通じて学びます。また、22歳にして実質ナンバー2、26歳にして副社長に就任するほどですから、結果もしっかり残しているわけです。(しかも、多額の収入が得られる副社長というポディションを自ら降りるリスクテイカー)

実力主義のスタートアップの環境で凌ぎを削り、培ってきた能力を活かして自ら起業する!これがジェフが歩んできた道なのではないでしょうか。

優秀な学生が、将来は起業したい!ただ、今すぐ起業するつもりはない。と考えるなら、こういった道を歩むのもひとつの手です。

シリコンバレーでは、優秀な学生に『起業しろ!もしくは、イケてるスタートアップへ社員番号ヒト桁の段階で就職しろ!』というアドバイスを送るのがお約束。

筆者は、数ある優秀な日本のスタートアップの中から、今回はテラモーターズを推薦します。

テラモーターズは、徳重徹氏が2010年に設立した電動バイクのメイカーで、ソニー元会長の井出氏、GoogleJapan元代表の辻野氏、AppleJapan元代表の山元氏などの個人投資家から資金を調達していることで有名です。

 

日本国内の電動バイク売上シェアはヤマハを抜いてトップ。
生まれた段階からグローバル志向の強いスタートアップで、既にベトナムやフィリピンに支社を構え、販路拡大に勤しんでいます。(詳しくは別のエントリーで紹介する予定)

筆者がこのスタートアップをお勧めする理由は、創業者の志がデカイことに加え、若手の登用に積極的であるからです。

代表の徳重氏は、次のSONYやホンダを創るという志のもと、端から世界の市場で稼ぐことを公言し、実践しています。こういうスタートアップって日本に中々ないですよね。(まだ社員数は10〜20人程度)

また、積極的にインターンを受け入れており(ただし内容は相当タフで1週間に6日勤務、1日12時間以上の勤務は当たり前だとか)、結果を残したインターン生を採用しています。
実戦で評価された人材が採用されることもあり、入社1年目(むしろインターン時)から最前線で働くことができるのです。
また、入社2年目でベトナム支社長に任命された人間もおり、実力次第でガンガン責任のある仕事を任せてもらえます。

世界で稼ぐ気概のある学生は是非挑戦してみてください→エントリーはこちら

これから世界に挑戦する優秀な学生達に期待しています!

追記:『懸命に働き、楽しんで歴史を作れ』(Amazonのモットー)カッコイイ!

今回紹介した、ジェフ・ベゾスの経歴は、書籍『ワンクリック〜ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛』を参照しました。
あまり語られることのない、ジェフ・ベゾスの生い立ちやキャリア、またジェフがどのようにAmazonの事業を創り上げてきたのか、その情熱と苦悩が綴られています。


ジャーナリストが出版した著書なので、どこまで事実かは分かりませんが(※リチャード・ブラントはシリコンバレーで実績のあるジャーナリストです)、Amazonの理解を深めるには現在1番適した書籍です。興味のある方は、是非一読してみてください。

2013年5月15日水曜日

シリコンバレーでは『モバイル+α』の波がきている




シリコンバレーでは2〜3年前から、モバイル内で完結しない『モバイル+α(デバイス)』のサービスがお金を集め、近年結果を出しはじめています。

モバイルとデバイスを紐付けることによって、より人々のリアルの生活にテクノロジーを応用しやすくなることが特徴です。

今回は、モバイル+αで台頭してきたプロダクトおよびスタートアップをご紹介します。

なぜ今モバイル+αなのか?


なぜ、近年モバイル+αの波が来ているのか。
その理由として、デバイスの製造コストが大幅に低下したこと(PCで設計、3Dプリンタで試作品を作り、中国等の工場で小ロットで安価に製造可能)に加え、コンピュータの機能を果たす小型チップのスペックが大幅に上昇したことがあげられます。

前者に関してはクリス・アンダーソンの著書『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』を、後者に関してはこちらの記事『「身体をネット」化する世界最小のARMチップ』を参照ください。



全ての人々に非貨幣決済を


まずは、スマートフォンから誰でもカード決済を可能にするSquareを紹介したいと思います。

Twitterの創業者で、一部から第二のジョブズとささやかれているジャック・ドーシー氏が2009年に設立したスタートアップです。米スターバックス社長のハワード・シュルツが惚れ込んで役員としてジョインしています。

米国ではスモールビジネスで生計をたてている人が多いのですが、これまで彼らはその導入コストの高さからクレジットカード決済システムを導入できずにいました。

ご存知、米国はリスク社会なので、多くの消費者がクレジット決済を求めます。
その消費者に対して、今までスモールビジネスを展開している人達は「クレジットが使えないなら買わない」といった機械損失を味わい続けていたわけです。

それを10ドルもしないデバイスとモバイルで解決しようとしているのがSquareです。

西海岸ではかなり普及しているようで、筆者もタクシーの運ちゃんや小さなピザ屋がSquareを使用しているのを頻繁に目にしています。

健康を手軽に管理


お次は、FitbitJawboneのUPです。

これらは身に付けることで、ユーザーの運動や睡眠のコンディションを記録、健康の管理を簡単にモバイルで行うことができるデバイス。

海外では結構流行っていますが、日本ではナイキプラスの方が知名度が高いでしょうか。

日本でも、Amazonから購入することができるみたいです。

 

部屋の温度調節をスマートに


2010年設立したNest Labが販売しているのが、ユーザーが好む温度と時間帯を常に記憶し、そのデータを基に自動で温度調整をしてくれるといったデバイス。加えて、モバイルからいつでも設定を確認、変更できます。

デザインもかなりイケてますねー。詳細はムービーをどうぞ


子供の教育に、次世代のファービー?


2012年創業のUboolyは、教育向けの人形を販売しています。

面白いポイントは、人形の中にモバイルを挿入して使用すること。(ちょうど、顔にあたる部分がスマホの画面です)

子供の成長(年齢)に合わせて、やりとりやゲームをアップデートしていくことができます。


 日本発のモバイル+αのプロダクトに期待


まだまだ、取り上げたいプロダクトはたくさんあるのですが、それはまた後程、別のエントリで紹介したいと思います。

さて、モバイルというビックウェーブに乗っかって+デバイスの波もきているわけですが、日本ではこういった分野に挑戦しているスタートアップはまだ少ないように思います。(最近では、Squareに倣ったクレジットカード決済サービスのCoineyなどが出てきました)

モバイル内で完結してしまうのではなく、モバイル+αの視点で問題解決を考えると、良いサービスが思いつくかも知れませんねー。

今後の日本勢もこの分野をがんがん盛り上げていって欲しいものです。期待しています。

追記:Squareが日本でのサービス開始を発表しました。

【関連エントリ】
・『投資家・起業家がモバイル+ハードウェアの事業にメロメロな理由

2013年5月10日金曜日

1年半で132億円を集めたライフネット生命の調達額をシリコンバレーの企業と比較してみた




74年ぶりに創業された独立型保険会社ライフネット生命が、創業からおよそ5年半年の2012年3月に東証マザース上場、2013年3月には保有契約数が16万件を突破しました。

信用が命の保険業界に、スタートアップとしてゼロから挑戦し、結果を残したことはまさに偉業というべきでしょうか。

ライフネット生命は、ボストンコンサルグループ、ハーバード・ビジネス・スクールなどで戦略を学んだ岩瀬大輔(当時30歳)と、35年以上保険業界でキャリアを積んだ出口治明(当時58歳)のコンビによって、2006年10月に設立された企業です。

 1年半で132億20万円を調達


特筆すべきなのは、この企業が紙段階の企画のみで、合計132億20万円の巨額資金を1年半という短期間で調達したことです。

調達先は、DBJ投資事業有限責任組合、マネックスグループ、新生銀行、リクルート、セブン&アイ・フィナンシャル・グループ、三井物産などなど。

日本で100億円の規模を、売上ゼロの状態で調達できる例ってあるのでしょうか?

そもそも、どうやればこんな巨額な資金を企画書のみで集めることができるの?

気になる方は、ライフネット生命副社長岩瀬大輔氏の書籍『132億円集めたビジネスプラン』または、『ハーバードで学び、私が実践したビジネスプラン』を読んでみてください。


さて、今回は100億円単位で資金調達した日本のスタートアップであるライフネット生命と、億単位の調達は当たり前の世界、シリコンバレーのスタートアップとその調達額を興味本位で比較してみたいと思います。

比較前に、ひとこと


前提として、当たり前ですが資金調達の規模で企業の価値を測ることはできません。

また、そもそも調達時期や企業規模がバラバラの企業同士を単純に比べることすらできません。

例えば、以下のような理由が考えられます。

・経済的背景→調達した時期が不景気か好景気か。バブルの時期に調達するのは比較的楽だが、リーマンショック後に調達するのは難しい。

・事業内容→ビジネスを回すのにいくらの資金が必要なのか。極端な話、宇宙ロケットを作る会社なら膨大な設備投資(アウトソーシングという手段もありますが)が必要な一方、コンサルティングの企業なら、優秀な脳みそひとつあれば可能です。前者は多額の資金を必要とする一方、後者はそれほど資金が必要ありません。また、本来なら同じ業界同士、今回はネット保険業界同士で比較すべきでしょう。

・為替レート→今回は、国内外の企業を比較するわけですから、その時期の為替を加味して比べる必要があります。日本円は一年ほど前は、1ドル80円を切るレベルでしたが、現在では100円近く下がっています。

・調達時の事業規模→調達時に既に利益orユーザーを確保している企業と、利益ゼロorユーザーゼロの企業では評価のされ方が違います。ちなみに、ライフネット生命は利益利用者共にゼロの段階で調達しています。また、本当なら上場できる規模なのに、上場時期を探りながら、資金調達をするといった事例も考えられます。

などなど。

今回は、めんどくさいので上記の要因を完全に無視して比較します。
レートは、1ドル100円計算。借入は含みません。ピックアップする企業も適当です。
※データは2013年5月10日現在、CrunchBaseによるもの

それでは、どうぞ!

やはりシリコンバレーの調達額はデカイ


では、まず上場企業から。

・Facebook→2240億円
・Groupon →1140億円
・Zynga→860億円
・TeslaMotors→318億円
・ライフネット生命→132億円
・Linkedin→103億円
・Yelp→56億円
・OpenTable→48億円
・Google→25億円
・Amazon→8億円
・Yahoo!→6.8億円
・eBay→6.7億円

うーん、やはりシリコンバレーは調達額がデカイ。
Yahoo!やAmazonをはじめとしたドットコムバブル世代の企業は、利益を上げない段階で早期に上場して市場から資金を調達していたことが分かります。ちなみに、Googleはドットコムバブルの絶頂とそれがはじけたはざまで台頭してきた企業です。

一方、ソーシャルブーム真っ只中の企業は数千億円規模で調達している例もありますね。

その中でもライフネット生命は、132億円とかなり調達している方なのではないでしょうか。すごい。

 未上場企業の調達額もすごい


その次に、有名未上場企業をどうそ。彼らはこれから更に資金調達を行う可能性もあります。

・Twitter→1160億円
・Pinterest→338億円
・Square→341億円
・Dropbox→257億円
・Evernote→251億円
・Eventbrite→140億円
・ライフネット生命→132億円
・Tumblr→125億円
・AirBnB→120億円
・Hulu→100億円
・Foursquare→71.4億円
・Uber→49.5億円
・Path→41.2億円

Twitterがスバ抜けていますが、他のスタートアップも相当調達していますね。
ただ、ライフネット生命の1年半といった調達期間や創業者の起業経歴を考えると、やはり132億円はデカイ金額のように感じます。

なぜライフネット生命は調達できたのか


シリコンバレーのスタートアップと比較しても、ライフネット生命はかなり巨額の資金調達を行ったことが分かりました。

では、なぜ彼らはこれほどの資金を調達できたのでしょうか。

代表取締役副社長の岩瀬氏は自身のブログで以下のように言及しています。

『では、我々はこの資金調達をどのようにして実現したのか?
理由はいくつも考えられるが、

① ビジネスモデルがシンプルで分かりやすかったこと
② ビジネスプランがかっちりしていたこと
③ 説明者である出口・岩瀬の二人の強みが相互補完的であったこと
④ 「一緒にやりたい」と思ってもらえる何かがあったこと
⑤ 時代がよかったこと(リーマン・ショック前夜、ギリギリ駆け込みセーフ)

の5つに整理することができると思う。』
(『132億円集めたビジネスプラン』生命保険立ち上げ日誌より)


出資を受けた当事者が言っているのだから1番答えに近いのではないでしょうか。
実際に出資をした側にも理由を伺いたいですね。

まあ、あとづけで成功の理由など何とでも言えるのですが、当時58歳の歳で超保守的な生命保険という業界と、保守的な日本というマーケットで挑戦したいと打って出た出口氏の勇気と情熱、また当時30歳の若さで30歳近く年上の人間と組む柔軟性を持った岩瀬氏の理論的(戦略的)思考能力がうまく補完し合っていたことが評価されたのではないでしょうか。

世の中を少しでもより良く変えるには相当な情熱が必要です。

ただ、情熱だけでは事を成すことはできません。

そこには、事業を遂行するにあたってロジックが必要なのです。

本書では、ロジックの部分に焦点を当て、5つのチャプターに分けて(事業機会の発見、市場分析、自社戦略、財務戦略と組織づくり、リーダーシップとキャリア論)丁寧に説明されています。


これからスタートアップとして挑戦することを考えている方、また会社で上司や顧客を説得する機会が多い方におすすめの1冊です。

数百億円規模で調達し、世界に打って出る元気なスタートアップが日本からもガンガン出てきて欲しいですね!

追記:岩瀬氏がTweetしてくださいました。

  1. これは良エントリー。ありがとうございます! RT : 1年半で132億円を集めたライフネット生命の調達額をシリコンバレーの企業と比較してみた

2013年5月5日日曜日

ファンキー過ぎるスタートアップRapGeniusが次のWikipediaを狙う




ヤバイ、こいつらファンキー過ぎる。

一度、知ったら頭から離れない。

今回は、爆速でHIPHOP界隈のユーザーを獲得してきたファンキー過ぎるスタートアップRap Geniusについてお届けします。


↑彼らは一体何者なのか


Rap Geniusとは?


Rap Geniusとは、ラップの歌詞を解説するという至ってシンプルなプロダクトです。


ラップの解説、注釈を投稿することに対する報酬として"ラップIQ"が与えられ、そのスコアは投稿者のハンドル名の近くに表示されます。インセンティブのシステムはこれだけ。すごくシンプルですね。

彼らは自らのサービスを、ラップのウィキペディアと称しています。

 ファウンダー達がファンキー過ぎる!


ファウンダーは、Tom LehmanIlan ZechoryMahbod Moghadamの3人。

シリコンバレーの名門アクセラレーターY Combinatorの卒業生で、YCのプログラムでは、最も順調にユーザーを獲得したチームのひとつであったと書籍『Yコンビネーター〜シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール〜』にて紹介されています。

このファウンダー達の特徴は、メディアに露出する際に必ずHIPHOP要素を取り入れてくるところ!全てにおいてファンキーで、一度彼らを見たら忘れられません。

↑物腰もめちゃくちゃファンキーで、対談中に即席のラップを披露してくれます。(15:00あたりからどうぞ)


インタビュアーにもHIPHOP要素を要求する3人

↑Skype、Zynga、Pinterestなどに投資していたAndressen Horowizから1500万ドルを調達した優秀なチームです。(動画)

彼らのインタビューを見ていると、HIPHOPキャラは故意に演じているなと感じます(笑)、
スタートアップ界の藤森(オリエンタルラジオ)と言ったところでしょうか。


業績を急激に伸ばしているスタートアップのファウンダーは、良くも悪くもプロダクトと並行して露出が増えるものです。

Rap Geniusのメンバーのように、サービスに合わせて自分達のキャラを作り上げていく手法は、サービスを印象づける方法としては面白いかも知れません。(無論、露出することが目的になっては本末転倒ですが)

 狙うのは次のウィキペディア?


彼らは、2013年4月27〜5月1日に行われたTechCrunch Disrupt NY 2013にて、サービスをラップ以外にも、ニュースやポエム、法律、コーランなどの専門的な分野に広げていくと発表しました。

確かに、現状のウィキペディアは広く浅くといった感じ。

それに対して、Rap Genius、Law Genius、Poetry Geniusは狭く深いウィキペディアとしてのポディションを確立できるのではないかと考えます。

今後も、世界で最もファンキーなスタートアップ、Rap Geniusから目が離せません。(そして、彼らの強烈過ぎる印象が頭から離れません。)

2013年5月2日木曜日

東大院生のエンジニア集団が生み出したGunosyが止まらない!人気の理由と今後期待すること




最近、日本でGunosy(グノシー)というサービスが話題ですね。
ホリエモンこと堀江貴文氏も絶賛のスタートアップです。

これがまた、使っていてめちゃくちゃ気持ちいいんですよ!筆者も兼ねてより愛用している国産プロダクトです。

Gunosyとは?


GunosyはFacebookやTwitter経由でログインすることで、個人の趣味嗜好に合った記事を毎日25本程度(設定可能)自動で配信してくれるサービスです。

誰が作ったのか

(画像:エンジニアtype記事より)

Gunosyは、2011年10月に代表の福島良典氏を含む東大大学院生3人のエンジニア集団によりローンチされたサービスです。(その後マーケティングを担当する竹谷裕哉氏がジョイン。)

ローンチ後、予想以上にユーザーの反応が良かったことが後押しになり(2万人のユーザーのうち70%がリピーター)、2012年11月に法人化、3160万円の資金調達を経て、2013年4月現在で13万ユーザーを突破しました。

そして、2013年度末までに100万ユーザーの獲得が目標であるとか!(100万ユーザーを突破したらY社あたりが買収したがるのでは…)

この経緯を踏まえて感じるのが、日本にも優秀な学生はたくさんいて、後は"やるかやらないか"の問題なんですよね、ホント。(世界の優秀な学生に関する過去エントリはこちら)

なぜ人気なのか


Gunosyの使い心地の良さは、"提供される記事数"と"キュレーションの質"にあると筆者は考えます。

Gunosyが誕生する前の情報収集は、RSSリーダーにいくつかのメディアを登録し、フィードから記事を自ら取捨選択する必要がありました。

RSSは随時記事を供給してくるわけですから、登録メディアが多いと1日数百、数千の記事をさばかなければなりません。

この状況だと、ノイズに紛れて重要な記事を見逃してしまうこともありますし、何より記事を読め!という圧迫感に疲れてしまうこともしばしば。

そんな問題を、Gunosyは毎日25本程度の記事を選出するといった方法で解決してくれます。

この数が絶妙なんです!

25本程度の記事だと、時間のないビジネスパーソンでもささっとチェックできる上に、物足りなさもない。

また、選出された記事の質がまた絶妙なんです。

先述したように、GunosyはFacebookやTwitterアカウントの情報を独自のアルゴリズムで解析し、ユーザーの趣味嗜好に適合した記事を自動で配信してくれるので、記事を自分でピックアップする手間を省けるんです!これはすごく楽。

そして、使えば使うほどその精度は上がる仕組みになっているので嬉しい。

加えて、普段読まないメディアに出会えたりするのも魅力です。

Gunosyは明らかにRSSに代わる情報収集ツールになりつつありますが、TwitterやFacebookから記事をチェックしなくなるかといったら疑問です。

Gunosyで情報が収集されるのは最短でも1日のタイムラグがあるわけですから、タイムリーな情報はTwitterやFacebook。新聞や雑誌的な位置づけとしてGunosyといった棲み分けになるのではないでしょうか。

今後のGunosyに期待すること



筆者はGunosyの愛用者として、ひとつ挑戦して欲しい事業があります。

それは、『メルマガや雑誌記事の切り売り購読配信』です。

ご存知メルマガとは、著名人が月840円(相場)で週1度の頻度で良質なコンテンツを配信してくれるといったサービスです。

堀江貴文氏が配信する『堀江貴文のブログでは言えない話』が有名で、購読者は現在1万5000人にのぼるとか。

何を隠そう筆者も堀江さんのメルマガの購読者なのです。

ただ、その他にも藤沢数希氏、津田大介氏、磯崎哲也氏などが配信するメルマガにも興味があるのですが、仮に4人分購読するとなったら4×840円=3360円。中々バカにならない額です。

同じことは雑誌でも言えて、多くの雑誌を購読するとなったら出費がかさみます。

それもこれも記事がパッケージ化されて販売されていることが原因なんですよね。

そこで、月額980円で登録すると、週に1度の頻度で個人に最適化された有料記事が10〜15本程度配信されるという、記事のバラ売りサービスを始めるのはいかがでしょうか。

1万人ユーザーを集めれば月々980万円、10万ユーザーで月々9800万円の収益です。

コンテンツ提供側も、マージンを受け取れる上に、記事をきっかけに本誌を知ってもらうor買ってもらうきっかけになるので決して悪い話ではないと思います。

既に米国では、電子書籍への移行に伴い書籍のバラ売りが導入されており、この分野は今後日本でも可能性があると見ています。(コンテンツ供給側の協力があれば)

筆者の意見はさておき、ユーザー数が100万を超えたらマネタイズの幅は凄く広がりますね!引き続きGunosyに注目です。