2013年4月22日月曜日

史上最年少で150万ドルを調達をした15歳の少年ニック・ダロイジオと米山維斗




先日、米Yahooが17歳の高校生ニック・ダロイジオ(Nick D'Aloisio)が開発するニュース要約アプリSummlyを買収したのをご存知でしょうか。Tech Crunchによると買収額は3000万ドル近いとか。

実は彼、史上最年少(当時15歳)でベンチャーキャピタルから資金調達をした少年なのです。しかもイケメン。


彼はロンドンに生まれ、12歳でプログラミングにハマり、同年「Facemood」というアプリをローンチしています。

その後、15歳でオンライン上の文章を自動要約するアイディアを思いつき、 夏休みを利用してメールやブログの文章を自動翻訳する「Trimit」というアプリをローンチ。
ローンチ後すぐにそのアプリはApp Store注目アプリに選出、また米Tech Crunchでも大きく取り上げられ話題になりました。

その話題を聞きつけ、香港の実業家、李嘉誠(リ・カセイ)が彼にコンタクトを取ったようで、彼は15歳にして李嘉誠のプライベートファンドから約30万ドルを調達します。
※その後、オノ・ヨーコやZyngaのCEOマーク・ピンカスからも投資を受けている。(トータルで153万ドルを調達)

その資金をもとにSummlyを開発。 Summlyはユーザーが好むニュースを400文字に要約してくれるというもので、機能のみならずインターフェイスも素晴らしい(動画参照↓)。


2011年11月にリリースしたSummlyは1年ちょっとで100万ダウンロードを達成。(買収に伴い現在サービス停止中)

2013年3月に米Yahooがモバイルにおけるインターフェイス改善と人材獲得を目的にSummlyの買収を発表しました。

↑買収後にBloombergの番組に出演するニック。マジで17歳なのか?


15歳で1億円以上の金額を調達し、自分で生み出したサービスが30億円近い評価を受け17歳で多額の資金を手に入れるなんて夢のある話ですね。自分が15歳の頃は何をしていたのか思い出すだけでも恥ずかしいです。まあ、人生ヒトそれぞれ。

さて、ここで気になるのが、15歳の日本人でも億単位の資金を調達できるの?というところです。

仮にニックが日本でSummlyを生み出したとしても、15歳そこそこで約1.5億円を国内から調達するのは難しかったのではないでしょうか。

日本のビジネス界では年齢(経験)=バリューとされている傾向にあるので、15歳の小僧に会社経営で億円単位のバリューがあるとは評価され難いでしょう。

一方で、世界のテクノロジー業界では、『素晴らしいプロダクトの前では皆平等』という考え方が根付いています。

むしろ、若さこそがバリューであると評価されるのです。
例えば、15歳の少年に投資するのと、45歳のおっちゃんに投資するのでは、10年後にどちらがイノベーティブなプロダクトを生み出せるかと考えるのです。無論多くの人間が前者と答えます。

現に、GoogleやFacebookといった世界に大きく影響力を与えたプロダクト()を生み出しているのはおっちゃんではなく若い世代なのですから。

また、ニックの場合、ロンドンのみならず、香港から米国西海岸に渡りグローバルに資金調達している部分に注目すべきでしょう。(オノ・ヨーコ、ZyngaのCEO、AirBnBのCEO、俳優のアシュトン・カッチャーなど錚々たる面々から出資を受けています。)

ニックが英語圏に生を受けたことがひとつのアドバンテージであることは間違いありません。
ただ、出資をする方はロンドンであろうが中国であろうが、日本であろうが、関係なく良いプロダクトを生み出してくれる先に資金を提供してくれますから、日本の若い衆もアプリをローンチする際は、英語版も同時期にローンチ。プレスリリースおよびティザーサイトも英語版を用意、海外メディアの取材も受けれるくらいの努力が求められます。ここは英語の話せる人間に協力してもらうなり、翻訳サービスに頼るなり、工夫によっては不可能ではないのかなと思います。

日本の若い人材が世界から見て劣ってるとは思いませんし、幼いうちからプログラミングに触れ、テクノロジーに惚れる子供の母数が増えれば、次のニックが日本から出てきても不思議ではありません。(直近ではインドや中国から出てきそうですが)

さて、実はそんな日本からも『素晴らしいプロダクトの前では皆平等』という考えのもと小学生社長が誕生していました。

1999年生まれの米山維斗(よねやまゆいと)氏が父親とケミストリークエスト株式会社を2011年に設立し、今後取締役社長に就任する予定のようです。(正確には法律上16歳になるまで代表権が持てず、現在代表取締役はお父さんらしい ) ※設立当初小学生、現在中学生です。

この会社は、化学の楽しさを知ってもらいたいという理念のもと、楽しみながら化学結合を学べるケミストリークエストというカードゲームアプリの製造、販売を手がけています。カードゲームの販売は49000部を突破したとか。



米山氏の挑戦を支援したのが、株式会社リバネスと株式会社ヴィレッジの2社です。
前者は、社員の60%以上が博士号取得という科学者集団。後者は、国内でサンドウィッチのサブウェイを展開している企業です。

リバネスが製品の製造、販売の支援。ヴィレッジが資金提供を行い、小学生社長が誕生しました。(↓動画)

会社員の父親が80万円、企業出資が70万円なので、ニックの例と比較すると可愛く聞こえますが、国内でもこのように年齢にとらわれない支援を行うプレイヤーが現れることは明るいニュースなのではないでしょうか。

さて、ニックの話に戻りますが、米メディアの取材で獲得した資金でまた会社を作りたいと話していました。また、将来的には若い人材にどんどん投資していきたいのだとか。

そりゃこんな経験すれば、将来自分が手に入れた一生かけても使い切れないであろう資金の一部を若い人材に投資したくもなるでしょう。(将来も相応の資産があればの話ですが)

このサイクルがシリコンバレーの活力を生み出しています。
日本人もお金持ちは多いのですが、サラリーマン社長がほとんどの社会ではこのサイクルを生み出すことは難しいかもしれませんね。


今月号のWIREDでニックの日本独占インタビューが掲載されています。(米Yahooへの売却前)
興味のある方はチェックしてみてください。


追記:Summlyが統合され、米Yahooのアプリとして正式にローンチされました。

追追記:アルファブロガーのちきりんさんがTweetしてくださいました。

イケメンは趣味の問題ですが、インタビューの方は私もちょっと驚きました。先日「14歳は大人」というエントリを書いたばかりですが・・RT : しかもイケメン。Bloombergでのインタビューなど、高校生とは思えません。

人間の成長ってホントに早いよね。オムツしてた時期含め、17歳しか生きてなくて、こんだけの人物になりえるってどういうこと??  てかね、「とりあえず大学に行って」とか言ってる段階で手遅れ。