2013年11月1日金曜日

19歳で投資家、アレックス・バナヤン(Alex Banayan)が史上最年少の大学生キャピタリストになれた理由



シリコンバレーの起業家は、若くして頭角を現すタイプが多く、早いと10代で事業を興し結果を残します。当ブログでも、ニックブライアンなどの事例を取り上げてきました。

そして、若年化の波は起業家に留まることなく、投資家の領域にも打ち寄せます。
今回は19歳でベンチャーキャピタリストになり、現在も大学生活を続けながら投資家として活動しているアレックス・バナヤン(Alex Banayan)氏についてご紹介します。

史上最年少19歳の大学生投資家



バナヤンは、LAに位置する南カリフォルニア大学へ通う20歳の大学生で、今から約1年前(当時19歳)から、Justin.TVTwichなどに出資をしているシリコンバレーのVCオルソップ・ルイ(Alsop Louie)でアソシエイトとして働いています。ちなみにオルソップのファンド規模は約200億円で中々大きいVCだと言えます。

彼の仕事はLAでイケてるスタートアップを発掘することで、学生起業家を中心にコンタクトを取っているようですが、未だに投資を決定できるようなスタートアップに出会えていないのだとか。肩書は投資家ですが、実際に資金を出資した経験はまだないみたいです。


きっかけは女子大生キャピタリストとの出会い



バナヤンがVCにジョインするきっかけになったのは、当時20歳でオルソップに勤務するスタンフォードの女子大生Ernestine Fu氏との出会いです。(ちなみに、オルソップはバナヤン以外にMITやスタンフォードなどの名門大学の学生を数名雇っています)

大学へ入学後、ビル・ゲイツやザッカーバーグのような偉人達が、どのように考えてぶっ飛んだキャリアを選択し、実現していったのかに興味を持ったバナヤンは、その答えを見つけるべく文献を読みあさるのですが、納得できる文献を見つけることができず、じゃあ自分でインタビューして本を書いちゃおう!と執筆活動を開始します。(ちなみに、アレックスはこの書籍に関して米国出版社クラウンビジネスと契約した最年少の作家でもあります)

その執筆活動の途中でErnestine Fuの記事に出会います。20歳の女性投資家に興味を持ったバナヤンは、早速メールでコンタクトを取り彼女とランチをする約束にこぎつけたのです。

もともと、VCで働くことなど(この歳で働けるとも)考えたこともなかった彼ですが、ランチ中にFuから出された『ベンチャーキャピタルで働くことに興味ある?』という質問に対して、こんな機会2度とない!という直感から即座に「Yes」と答えてしまいます。その2週間後にVCのファウンダーとの面接が入り、Fuの推薦も手伝って史上最年少19歳の投資家が誕生しました。ちょっとした出会いから人生変わりますね。

バナヤン自身は、投資家になることはゴールではないが、次のビル・ゲイツやザッカーバーグを発掘することは何かに取り憑かれたように没頭できるし、自身の執筆活動にも活かせると捉えていようで、今は謙虚に取り組んでいきたいのだとか。


学生が投資家である意味



↑LAとシリコンバレーを行き来するバナヤンの生活

10代〜20歳の人間に投資家という仕事が務まるのかという点は賛否両論だと思います。金融の知識も乏しい上に、ビジネスやマネジメント経験のない人間に出資などして欲しくないといった意見はごもっともですし、他にもネガティブな要素を挙げればきりがないでしょう。

一方、ポジティブな要素もいくつか考えられます。中でも、
・若い世代との人脈
・コンシューマー目線で投資案件を見つける嗅覚
という点は高く評価できるのではないでしょうか。

まず、若い世代への人脈ですが、ご存知の通りGoogle、Facebook、Yahoo!をはじめ学生が生み出してヒットしたプロダクトは、シリコンバレーにごまんとあります。

その金の卵を常に探している投資家達ですが、彼らがいちから学生の世代とコネクションを作ることはそう簡単ではありません。彼らが大学に入り込める時間や領域はほんの一部ですし、イケてる学生が向こうから出向いてくれる保証もありません。(シリコンバレーには投資家もごまんといるので常に激しい競争に晒されているわけです)

なら、優秀な起業家が生まれそうなor生まれてきた大学へ通う学生を捕まえて、代わりに人脈を構築してもらう!というのが、今回オルソップが取っている戦略であり、ある意味合理的なのかもしれません。また、世代が近いという感覚は大切で、投資案件や相談事をするにしても、上の世代より同世代の方が感覚的に腹を割って話しやすいというのはありそうです。(まあ、人それぞれですが…)

次に、投資案件を見つける嗅覚ですが、普段からテクノロジーに触れている世代が、いちユーザー視点で可能性のあるプロダクトを探せるというのは学生のアドバンテージだと思います。

特にコンシューマー向けのプロダクトに限っては、同世代が普段どんなサービスを利用しているか+利用したきっかけは何か、加えて自分がどんなサービスを利用したいと感じるかを把握していることは武器になりますし、同様のことをおっさん世代が行うのは難しいのも事実です。

余談ですが、ふと堀江貴文氏が、
『異業種交流会に行くくらいなら合コン行った方がいいよ。だって、消費者はその女の子たちで、結局、1番最初に市場を引っ張っていく。40才とか50才のおじさんが市場を引っ張ることってないから。彼らの話を聞いたって何の参考にもならないよ。』
とどこかで言及していたのを思い出しました。物理的にユーザーの近くにいることって結構重要なのかも。

オルソップは(たぶん)上記ような考えで、学生の投資家をアソシエイトとして採用しているのではないでしょうか。

実際にErnestine Fuが、スタンフォードのPh.D.(博士課程)が設立したスタートアップのQwhisperへ約1.3億円のシード投資を成立させたという事例が出てきています。

今後も学生投資家の活躍から目が離せません。

最後に、バナヤンの書籍出版後のプランは起業だそうです。人間は任された立場や環境で大きく成長できるものだと思うので、若くして投資家という立場で学んだ経験を活かし、彼の納得のいく人生を歩んでいって欲しいものです。

 

【参照元】
How 19-Year-Old Alex Banayan Became The World's Youngest
Introducing: The kid VC
Meet America’s youngest venture capitalist, Alex Banayan
Ernestine Fu: Class Act
A Day In The Life Of 20-Year-Old VC Ernestine Fu